極悪精神療法(2015年出版)の紹介

精神病院だけでなく、刑務所、ホームレス支援施設、在宅診療の行政サービスなどに長く勤務してきた筆者が、その中で見出した患者の“悪質な要素”を分析し、その対応策を提示した書籍。

「極悪精神療法」とは、悪質な患者、モンスター化した患者らに対して効果的ではあるが、一般的には賛否を呼ぶだろう独自のカウンセリング技法である。

これを一般社会で応用することは可能か?リスクはないのか?医療的虐待との境界はどこにあるのか?…そうした疑問にも誠実に対応している。

目次:
第1章 悪い患者
事前に知っておくべき刑務所の事情
ケースA 腰痛
“逃げ込み”のロジック
ケースB うつ病
うつ病という免罪符
ケースC 暴力と脅迫
短絡さと興奮
ケースD 精神障害と拒絶
拒絶の権利
ケースE 窃盗癖
衝動と罪
“悪質な者”と2つの隠語
「タマ悪」の戦略① 仮病の波紋
「タマ悪」の戦略② 薬物乱用の波紋
悪質さは病気?
“悪質さ”の共通項
「タマ悪」の本質
「悪」を定義する
「悪」は個性か?

第2章 極悪な医者
「悪」vs極悪医師
ケースA’ 腰痛
ケースB’ うつ病
ケースC’ 暴力と強迫
ケースD’ 精神障害と拒否
狂気の診療?
「タマ悪」と情報戦略
極悪療法vs精神病
薬の脅威と信頼
極悪精神療法とは何か?

第3章 極悪精神療法の科学
起源は「処遇力」
処遇力と業務コスト
受刑者の更生とコスト概念
躾と処遇技術
時間と虐待の因果
処遇力+医療=極悪療法
極悪医師とチームワーク
極悪療法のリスクを知る
“対・人格障害”の診療
極悪療法の限界

第4章 極悪精神療法の一般利用
老人Fの晩年
老人Fとの格闘 その①
脳病変と「悪」
老人Fとの格闘 その②
極悪老人医療
極悪療法の配置について
青年Gの憂鬱 その①
怠け者=うつ病?
青年Gの憂鬱 その②
極悪療法vs自殺衝動
極悪療法vs無理解 その①
処遇力vs無理解 その②
処遇力の変質
怒りは情熱と化す